弁護士業務に欠かせないスマートフォンアプリ5選

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メールの確認やスケジュール管理、電車の乗換時刻の検索まで、弁護士がスマートフォンを使わない日はありません。スマートフォンに入れておくと便利なアプリをご紹介します。

1. 文献調査で役立つ Microsoft Lens

Microsoft Lensは、カメラと画像処理機能が一体となったアプリです。

例えば、見開きの本を撮影すると、画像が歪んだり傾いたりするのが常ですが、このアプリは、撮影した写真の傾きを補正したうえ、画像を読み取り可能なテキストデータに変換してくれます。

私は、図書館で文献を調べる際に使用することが多いです。

図書館に調べ物に行くと、分厚い本の中で、知りたい内容が1ページしか記載されていないことがよくあります。その1ページのために重い本を持ち帰るのは大変なので、ちょっとした内容であれば、Microsoft Lensで該当ページと奥付を撮影します。

多少斜めから撮っても、正面から撮った時のようにまっすぐに補正してくれますし、テキストデータをメールにコピーして貼り付けることもできます。シャッター音を無音化する機能が最初から付いているため、図書館で気兼ねなく利用できる点もメリットです。

Microsoft Lens - PDF Scanner
Microsoft Lens – PDF Scanner
無料
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2. 無音カメラ カメラICS

スマートフォンのカメラは、メモ帳の代わりに使用する機会が結構あります。

問題は、パシャパシャと音がしては困るシチュエーションが多いことです。こうした際に活躍するのが無音カメラで、撮影時に音が出ないため、周囲を気にすることなく撮影でき、何度でも撮り直しができます。私は、「カメラ ICS」という無音カメラアプリを利用しています。

無音カメラのデメリットは、通常のカメラよりも若干画質が悪くなる点であり、画質にこだわりたい方は、スマホのシステム音を消す「MuteALL」(有料)を使うと良いかもしれません。

無音カメラは盗撮などの犯罪にも使用されますので、不要なトラブルに巻き込まれないよう、電車の中でスマートフォンを持つ際は、胸より上の位置で持つようにします。

カメラ ICS - Camera ICS
カメラ ICS – Camera ICS
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カメラ無音化MuteAll(標準カメラもビデオも自動無音化)
カメラ無音化MuteAll(標準カメラもビデオも自動無音化)
¥250
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3. いざという時のための「かんたんnetprint®」&「netprint®」

(1) スマートフォン内のデータをセブン・イレブンで印刷できる「かんたんnetprint®」

かんたんnetprint® のサービスを利用すると、スマートフォンに入っているデータを全国のセブン・イレブンで印刷できます。

スマートフォンに委任状、示談書等の雛形を入れておき、スマートフォンで手直しして印刷すると、全国どこにいてもちょっとした仕事ができます。

また、事務所に書類を忘れた場合、スマートフォンにメールで書類のデータを送ってもらい、かんたんnetprint®を使ってセブン・イレブンで印刷することもできます。普段はほとんど使用しませんが、いざというときの保険としてインストールしておくと良いと思います。

かんたんnetprint-PDFも写真もコンビニですぐ印刷
かんたんnetprint-PDFも写真もコンビニですぐ印刷
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(2) パソコン内のデータをセブン・イレブンで印刷できる「netprint®」

スマートフォンではなく、パソコンに入っているデータをセブンイレブンで印刷する、「netprint®」というサービスがありますが、これも結構便利です。

例えば、弁護士が事務所に書類を置き忘れてきた場合、事務局がその書類のデータをセブンイレブンのシステムにアップロードし、パスワードを発行します。弁護士は近くのセブンイレブンに行ってパスワードを入力し、アップロードされたデータを印刷します。

セキュリティーの問題があるので、機密性の高い書類は送れませんが、契約書の雛形程度であれば問題ないと思います。

以前、勾留中の依頼者に誓約書を差し入れ、署名拇印した書面を宅下げしようとしたところ、警察官が「間違った」と言って、ビリビリに破いた誓約書を返してきました。その誓約書を持って裁判所に駆け込む予定だったので、血の気が引いた記憶があります。

弁護士業務に不測の事態は付きものです。今であれば、こうしたサービスを活用して乗り切ることができます。

参考リンク: netprint®(外部リンク)

4. 言った言わないのトラブルを防ぐ 録音アプリ PCM録音

初代デジタルマイクロレコーダーNT-1
(事務所に保管されている初代デジタルレコーダー。)

録音は基本的にボイスレコーダーで行いますが、常に持ち歩いているわけではないので、いざという時に役立つのがスマートフォンのボイスレコーダーアプリです。

録音が必要な場合は、録り直しが効かないことがほとんどです。まだ使ったことがない方は、いざという時のためにアプリの有無を確認し、練習しておくことをお勧めします。

Androidのスマートフォンを使用されている場合、スマートフォンに「音声レコーダー」や「ボイスレコーダー」といった録音アプリが標準搭載されている場合と、登載されていない場合があります。録音アプリが登載されていない場合は、Google Playストアから録音アプリをダウンロードする必要があります。

私のお勧めは「PCM録音」です。直感的に利用でき、録音ミスが少ない印象です。

PCM録音
PCM録音
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5. LINE

LINEについての基本的な説明は割愛し、弁護士業務に関連する内容のみ説明します。

(1) 弁護士が知っておくべきLINEの超重要機能「トーク履歴の抽出」

最近は、LINEのメッセージを裁判で証拠提出する機会が増え、メッセージ一つで勝敗を決する事件もあります。

以前、貸金請求の借主から依頼を受けた際に、トーク履歴の中から貸主の免除の意思表示らしきものを見つけ、有利な和解に漕ぎ着けたケースがありました。

また、認知調停の際に、当事者間の膨大なトーク履歴の中から有利な内容を拾い出し、立証の柱としたケースがあります。

依頼者は、依頼者が重要だと判断したメッセージのやり取りだけを見せてきますが、それ以外の部分に重要な証拠が埋もれていることがあるので、受任した場合は、それまでの全履歴を確認する必要があります。

問題は、どうやってそれまでの全履歴を取得するかですが、全てのメッセージについて画面キャプチャーを作成していたのでは、膨大な時間がかかり、非現実的です。

ここで活躍するのが、トーク履歴の抽出機能です。

LINEには、これまでの全てのトーク履歴をテキストデータにしてメールで送信する機能があり、これを利用すると、1、2分でトーク履歴のテキストデータができあがります。これまでの膨大な量のトーク履歴が、一瞬でテキスト化されて一つのファイルに収まるので、本当に便利です。

私は、打ち合わせの場でトーク履歴を事務所のメールアドレスに送信し、その場で印刷して打ち合わせを続けます。スマートフォンの小さい画面を見せ合うよりもはるかに効率的です。

証拠提出の際も、画面キャプチャーではなく、テキスト化したトーク履歴を印刷して提出しますが、多くの場合、相手方も一連のメッセージの内容を知っているので、内容を争ってくることはありません。

デメリットは、トーク履歴を抽出する際に、写真やスタンプが省略されてしまうことであり、重要な部分については、やはり画面キャプチャーを提出する必要があります。

ちなみに、LINEの使用頻度が高いのアジアの一部地域だけで、欧米系の依頼者はWhatsAppを、中国系の依頼者はWeChatを使用していることが多いです。 WhatsAppにはLINEと同様、テキスト化したトーク履歴を出力する機能がありますが、WeChatには見当たりません(令和3年4月現在)。

参考リンク:LINEのトーク履歴をテキストで保存する方法が便利!(外部リンク)

(2) 友達申請のかわし方

私は、依頼者からLINEのアカウントを求められても基本的に教えませんが、まれに、連絡手段がLINEのみという、困った依頼者がいます。仕方なくLINEのアカウントを教えると、そうした依頼者に限って、どうでもいい写真や動画を頻繁に送ってくるので閉口します。

どうしても自分のアカウントを教えなくてはならない場合は、「業務に関係のない内容については送信をお控えください。」「基本的に返信をしないのでご了承ください。」と先手を打っておきます。

(3) 仕事の会話は控えめに

LINEが普及し始めた頃の話です。

後輩の弁護士とLINEで雑談をしていた際に、たまたま仕事の話になったところ、後輩から、「LINEは誰が見ているかわからないので、LINEで仕事の話をするのはやめましょう。」とピシャリと注意されました。

あれから5年以上が経った今になって、LINEの運営会社が、サーバーが日本にあったという説明は嘘で、本当は韓国のサーバーを使用し続けていたと認め謝罪しました。

LINEは便利なコミュニケーションツールですが、あくまでも雑談用であって、通信の秘密が確保されているような通信手段ではありません。事務所内の連絡に使用されている方も多いと思いますが、業務に関する内容は控えましょう。

参考記事:通信の安全を確保するための各種ツール

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